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ある家庭教師の独り言

英語110番・満10年

 この2月で、英語110番は満10年を迎えた。まさに10年前私は、自分が行いたい指導を貫くために、そしてある意味では、自由な生き方を模索すべく、独立をしたのだ。(独立の経緯はコチラ

 10年は一昔と言うが、振り返ると、色々なことが思い出される。世の中の変化も感じるし、生徒の気質の変化も感じるし、入試傾向の変化も感じるし、自分自身の変化も感じる。だけど10年目とは言っても、実は、特別な感慨はないというのが、今の気持ちに一番近いかもしれない。こう言うと、何か冷めている印象を与えるかもしれないが、私にとって、独立して一人で、自分が思うように英語の指導をするということは、とても普通で自然なことなので(実は趣味のようなものとも言える)、普通のことを10年続けても普通であって、特別ではないのだ。

 実際この10年、将来どうなるのかなどと、先のことを考えたり、生徒数を何人集めようなどと、営業上の目標を考えたりしたことはほとんどなく、とにかく一人一人目前の生徒の指導をきちんと続けていたら(今も、入試が不本意な結果だった生徒への対応で忙しく・・・)、いつの間にか10年が経っていた、という感じだ。

 でも、こんなことが言えるのも、ひとえに生徒が来てくれたからだ。どんなに、自分の指導を貫きたい、自由な生き方がしたいと言ったところで、生徒が来てくれなければ、それも叶わない。だから、このようなある種恵まれた生き方を可能にしてくれた、これまでに出会った全ての生徒、そして保護者の方に、この場を借りて、改めて感謝を申し上げる次第だ。

 この10年、色々な生徒に接してきた。見事目標を達成した生徒もいたし、残念ながらそうならなかった生徒もいた。私の指導がぴったりマッチしたと思える生徒もいたし、残念ながら、お互いの思いが相容れず、上手く事が進まない生徒(もしくは保護者の方)もいた。

 日々の授業でも、よいものはよいと言ったし、悪いものは悪いと言った。生徒数確保のために、あるいは波風を立てないために、悪いものをよいと言ったことはないし、大丈夫でないのに大丈夫と言ったこともない。考えの甘い生徒には、それが正されるまで厳しく接したし、時には、その甘さをよしとする保護者の方にも厳しく接した。退会を勧める場合も少なからずあった。

 でもどんな場合でも、私なりの責任として(というより、私の性格上そうなってしまうだけとも言えるが)、私は生徒や保護者の方に、正直に、そして真摯に接してきたつもりだ。十分に話もした。だから、私の指導が役立ったと思ってくれた生徒はもちろん、指導方針が合わない等で、そう思っていない生徒(あるいは保護者の方)に対しても、何か意味あるものは残せたのではないかと思いたい。

 私は何らかの組織の意向に縛られることがないし、特別競わなければならない相手もいない。だから、正直な指導がしやすいし、奇をてらわず、自然体で接することもしやすいわけで(今の時代、これは意外と貴重ではないか)、こうしたことは私の義務なのではないかと、10年という節目に改めて思った。というより、自分の性格からして、そういう風にしか出来なかったし、今後も同じようになるのだろうと思う。

 上でも述べたように、私の今の立場は、生徒が来てくれなければ、維持できない。だから本来なら、自分の指導を貫きたいとばかりは言えない。でもポリシーを曲げてまで、生徒数確保を優先したくない、というよりできない。やはりポリシーをはっきり打ち出して、それを求める生徒がやってきて、その生徒には正直な、真摯な指導を行なう。そうしていたら、持続可能な数の生徒が集まっていた、という形を目指したい。

 曲がりなりにも10年間、そのような形で何とかやってきたわけなので、今後も独善的にならないよう気をつけた上で、しっかりポリシーを打ち出し、ぶれずに、正直な、真摯な指導を続けていきたいと思う。自由な立場で、自分にとっては趣味のような授業が続けられたこの10年に、大いに感謝をしつつ。